…難しい。
めっちゃ面白かったし、ずっと集中して飽きずに見られたんだけど、感想をまとめるとなると、まだ言語化できない部分が沢山ある。
終始物語の手のひらで踊らされててめっちゃ楽しかった。
登場人物みんな怪しいようで、みんな良い人にも見えるし、こう…人と人の関わりとか、繋がりとか、そういうところの描き方が本当に好き。
人を書くのが上手すぎる。
人がいて、社会があるというのを描くのが上手すぎる。
結局ヤマサキさんはベルトコンベアーを止められなくて、植物状態になってまだ生き続けていてしまっていて、社員情報からも削除されて、親も亡くなってて、恋人も死んで、病院からも"ヤマザキ"さんと認識されてて、誰がヤマサキさんのことを覚えていてくれるんだろうって思ったし。
壊れかけの社会で、壊れてしまった恋人の無念を会社に訴えようとしても出来なくて、ヤマサキさんの両親にも責められて、それでもアメリカ本社に行って訴えたのにそれも無碍にされて、結局爆弾を仕掛けて自分は最初にこの世を去ったまりかさん…多少の労働環境改善はあったかもしれないが、それでもDAILYFASTの物流を止めることはできなくて、誰が彼女の叫びを聞いて上げられたんだろう…
と思うと、ヤマサキさんのことを覚えていてくれるのは、最悪の事態を止められなかったMIU404組で
まりかさんの気持ちに耳を傾けてあげるのがアンナチュラル組なんだろうなって思った。
爆弾事件の被害者は多数いて、もちろんまりかさんがしたことは大事件なんだけど、それでも最初から救えなかった、誰も聞いてくれなかった2人に寄り添ってあげることができるのが、今作のドラマ組。
そして少しの希望と、沢山の後悔を抱えながらこれからも歩んでいくのがラストマイル組だよなぁ
エレナめっちゃ良かったんだけど、エレナのことをまだ掴みきれてない。
結局エレナも会社にとっては、壊れかけの捨て駒でしかないくて、爆破予告は多分何もないけどもし何か起きた時の保険用にエレナをセンター長にしただけ。
そのエレナも善良な人に見える時もあれば、ただ会社の意思に従う駒に見える時もあれば、優秀なセンター長に見えたり、別に誰が死んでも仕方ないとかいうから黒幕かと思ったら、休職明けの壊れかけの人間だったというだけで。
ヤマサキさんがベルトコンベアを止めたくなった気持ちもすごく分かるんだろうな。
見なかったふりして、マリカさんの訴えにも応えなくて、色々間違えたけど、最終的にはDAILYFASTに向けて一矢報いた。でも結局配送料が数十円上がっただけといえばそれだけ。羊運送の役職組がドライバーとして現場に出るなど、もちろん社会を動かした部分もあるけど、最終的にエレナは解雇されて。でも本人的には無くしてしまった、壊れてしまった、忘れた部分を取り戻すために、白い手帳を買うんだろうなぁ。
梨本とエレナ、信頼して疑って一緒に命の危機を乗り切って分かりあったかと思ったら、たった数日で工場を去ってしまうエレナ。次はあなたの番と言われた梨本。まだ爆弾はあるとエレナが言ったように、また似たようなことが繰り返される…という呪いにも聞こえるし、その爆弾を爆発しないように扱っていくという未来にも聞こえる…
梨本…人間味ないかと思ったら、意外とちゃんと人間で良かったな。何事にも興味内容に見えて意外と正義感あるようで結局会社に雇われているただの1人という、絶妙なバランス…
全体的に、今回は爆弾12個しかなかったけど、まだ爆弾はある。次はあなたかもよ?みたいな危うさが良かった。みんなどこか壊れて、壊れたのを直したり隠しながら生きてるだなって感じがした。
ロッカーが壊れたままにしてるのも、結局みんな見てみぬふりをした結果なんだなぁ
そもそもあの誓約書だって、ヤマサキさん本人が書いたものなのかすら怪しいし。
ヤマサキさんが止められなかったベルトコンベア
は、まりかさんの事件で少し世界は変わったのかもしれないけど、たぶん結局ほぼ何も変わらなくて、今日も世界は動いていくんだなという残酷さが1番残る。
本当にスッキリさせるだけじゃなくて、私たちに何かを投げかけてくる、乃木さん新井さん塚原さんトリオが好きすぎる。
アンナチュラル、MIU404に限らず、本当に色んな立場の人が出てくるけど、それらが強く関わるわけではないけど、みんな同じ社会を生きてる人たちで、みんな自分の仕事をして、それぞれ思いや葛藤があって生きていて…
という交わり方が本当にすごい。
正直今の私の生活で物流というと、ネット通販で買い物を良くして、スーパーセールで買い物をして、送料なしがいいな、送料高いな、荷物早く届かないかななんて思ってる消費者で…
でもこの安さ、速さのために、削っているものが沢山あって。MIUの朝からお弁当を並べるために外国人留学生を日本に入れてる話もそうだし、なんか私たちの生きている日常…‥という感じがすごくした。
私からしたら荷物が届かない程度のことだけど、物流が回らないと薬や備品が届かなくて大勢の命に関わることだし、多分コンビニやスーパーとかそういう色んなところにも影響してくるんだなと思うと、本当に社会を回しているんだなと…そうなると尚更止められない気持ちもわかるから、本当に社会の縮図だなってなる(語彙力)じゃあ結局誰が悪なんだ???ってなるのが、本当に上手、
品質を求めるあまりコストが上がって、価格競争で負けたのもすごいリアルで。
でもその品質のおかげで、最後に爆弾から守れたのは本当にすごく良かった。最後にちゃんとプレゼントをお母さんにあげれていて、嫌なことばっかの壊れかけの世の中だけど、まだ捨てたもんじゃないよねってちょっとスカッとする塩梅が相変わらず上手すぎる。
本当に視聴者を手のひらで転がすのがお上手。
一旦吐き出したけど、まだ上手くまとまらない。
とりあえずあと何回かは見に行きたいなぁ…
ずっと楽しみにしていた映画だったので、とりあえず期待通り、面白くて嬉しいなって思いました(感想文?)
最後にこれだけ言っておきたいんですけど……
白井くん!!!!!生きてたんだね…
本当に嬉しい…許されるためにちゃんと前を向いて歩いている白井くん……多分白井くんの中の後悔が消えることはずっとないんだと思うけど、それでもちゃんと前を向いて歩いていて、メディカル便を届ける白井くん…自分の人生を歩んでいる白井くん…白井くんのバイク便が何人かの命を救ってるんだなと思うと…本当に白井くん…ああ白井くん…
白井くんといい、勝俣くんといい、社会から溢れてしまった子供がちゃんと救われているのがいい。
間違えたことをした子供は、大人が手を差し伸べるべきというのが一貫していて本当にいい。成川くんは今頃どうしてるんだろう。ちゃんと前を向けていたらいいな。